自然食宅配 iito(いいと)

有機野菜や果物などの農産物や畜産物と、無添加でつくられた食品、生活品などをお届けするお店です。

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島根県雲南市「木次乳業」パスチャライズ牛乳

パスチャライズ牛乳の生産地を訪ねて
—自然に逆らわない生産—島根県雲南市「木次乳業」

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島根県雲南市・奥出雲の里山に工場と自社牧場を構える「木次乳業」が
創立されたのは、日本が農業型の国から都市型国家へ急速に変わろうとしていた
昭和30年代でした。
創設者である佐藤忠吉さんは、地域に根ざした「自立した農業」の必要性を考え
養蚕・炭焼きに代わる新しい産業を興そうと、牛乳の原料生産から加工処理まで
を手がけ「木次乳業」の名で販売を始められました。
その後、超高温で滅菌処理を施し大量生産される日本の牛乳流通の在り方に疑問
を感じ、昭和53年には日本で初めての「パスチャライズ牛乳(低温殺菌牛乳)」
の流通を始め、現在も近隣農家の方たちと共に、酪農を核とした有機農業の
取組みを続けています。

木次乳業がパスチャライズ牛乳の開発に本格的に取組み始めたのは昭和50年頃から
ですが、それまでの歩みの中には、近代化の波と共に、農薬や化学肥料へ気持ちが
傾いた時期もあったそうです。ですが、乳房炎や、繁殖障害、起立不能など、
つぎつぎと原因不明の病にかかる牛をみて、農薬中毒である事に気がついたのだと
言います。化学肥料を使うと、草は青々として人の目には美味しそうに映りますが、
牛は草を食べません。また母乳から残留性のある農薬が検出されるなど、様々な
問題が見えてきたのだそうです。
そうした経験から、有機農業への取組みが始まり、その後パスチャライズ牛乳の
研究も始まりました。

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(集荷された牛乳が入るタンク。農家さんが特定できるように分けて入れられます)

「パスチャライズ牛乳」と、現在日本で主流となっている「超高温殺菌牛乳」との
違いは、加熱する殺菌温度の違いです。
一般的に超高温殺菌法(ステアリゼーション)と呼ばれる処理法は、120~130℃
で2~3秒加熱されており、超高温で処理することによって、牛乳中の微生物を滅菌
する方法が取られています。
細菌が滅菌されているので、賞味期限も長くなり、流通性は高まりますが、
有害な菌と共に有益な菌も死滅してしまいます。また牛乳中のたんぱく質やカルシ
ウムなどの栄養素が損なわれ、消化吸収にも影響します。
一方、低温殺菌法(パスチャリゼーション)は65℃で30分間加熱することで、
必要な栄養素を残したまま有害な菌のみを殺菌することができます。
菌が生きているということは、当然時間が経つと変質します。賞味期限が短い分
大量生産はできませんが、「時と共に変質する、商品としてではなく、命を大切に
する牛乳を扱いたい」という想いがあるから実現できる処理法なのです。
またパスチャライズ牛乳として、生に近い栄養素の生きた牛乳を提供するためには、
細菌数の少ない質の高い原乳が必要となります。
その為には牛を健康に育てることが何よりも大切です。
現在パスチャライズ牛乳の原乳となる牛を育てているのは、近隣に住む小規模の
酪農家約30軒で、奥出雲の清流斐伊川に潤された、土に恵まれた地に点在しています。
牛はとてもデリケートなため、出来るかぎり放牧で自由に採食できる環境にすること、
また家族のように気を配って育てることで、おいしい牛乳が生まれます。

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(冬場に必要な草を保管しています)

牛が食べる餌は、夏場は青草、冬場は干し草が基本で、濃厚飼料(自家
配合飼料)は必要最小限使用しているとのことです。
奥出雲の地域は冬場には雪が降るため、草の確保が難しくなります。
その為近隣の耕作放棄地を利用し、牧草を育て、冬に向けて保管をし
酪農家の皆さんに配っているそうです。

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(牛乳パックと同じ言葉がトラックにも書いてありました)

現在木次乳業で働いている方は、酪農家や農業に従事されている方も
含めると80人以上になるそうですが、従業員の方たちの昼食用に、無農薬で
お米や野菜、豆腐やパンもつくっているそうです。
生産に携わる人の健康管理も大事にされていますが、そこには一貫して
いのちを大切にするという姿勢が伺えました。

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(自社牧場である日登牧場)
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(仔牛さんたちが出迎えてくれました。すごい人なつっこい!)
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(牛舎では妊娠中の牛さん達が留守番中でした。残りのみんなは山へ散策中だそう)
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(散策組が山から下りてきました。すごい一列)
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(ぞくぞくと)
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(もくもくと。帰って水を飲むのが楽しみだそうです)
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(水を飲んで満足そう)

木次乳業では、平成2年より自社牧場である「日登牧場」を開設しています。
山が多い日本の地形をそのまま生かした酪農ができるように、ここでは
ブラウンスイス種という山岳牛を育てています。
ホルスタイン種より乳量は減りますが、乳質がよく、足腰が丈夫で山路酪農に
適しているそうです。
放牧し野の草を食べた牛の乳は、機能性たんぱくやビタミンE、抗がん作用が
あると言われるCLAなどが多く、チーズの原料にも優れているそうです。
牛一頭一頭に目を配らせながら、それでいて過保護にもせずに育てる。
ひもじさ、寒さ、困難があってこそ、心身共に健康な牛が育つのだと言います。
そのために365日、牛と共に季節を過ごしています。
大自然の仕組みの中で生産に携わるかぎり、工業製品のように大量の生産は
できません。いのちある食材として健全であることを何よりも重視し、
出来るかぎり自然に近い状態で提供する。それが木次乳業が大切にしている想いです。

「食べるということは、地球上のいのちをいただくこと」
創始者である佐藤忠吉さんは、ご自身の肩書きを「百姓」で貫いており、
まだまだ未完の百姓だとおっしゃいます。「人の為」と書くと「偽り」となるように
まずは自分のために安全な食べ物をつくろう。それが広がるようにとの想いから
酪農・乳業だけでなく、農業と加工営農を含めたネットワークつくりを目指して
います。地域的広がりの中で多面的な生産をしていきたい。そうした上で消費者と
直結した流通・生産活動ができればと考えておられます。
実践の場「食の社」で今日も野菜作りに汗を流しておられるそうです。


※「食の社」は食の自給計画の為に、地域の皆さんと発足した共同体です。




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  1. 2012/09/17(月) 12:40:52|
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